今では見掛けない雛道具の一つ[鋏箱]を紹介します。
(はじめに)
鋏箱(はさみばこ)とは云っても、ハサミを入れる道具箱とは違います。
「この古道具の名称を初めて知った。」
という人は多いと思います。
外出する時、箱に着替えの衣類を入れて棒を通し、家来に担がせて運んだ「衣装入れ」のことです。
戦国時代には、2枚の板の間に衣類を入れて、竹で挟んで運ばせたのが名前の由来だそうです。
鋏箱は、雛飾りで長持ちの上に置かれ、箪笥(たんす)と組み合わせて「三つ揃い」として飾られます。
(古道具「鋏箱」について)
当庵では、元から板張りの高級な鋏箱(写真の「上に載せてある箱」)を一つ所有していましたが、最近、更に黒色和紙を貼った竹製の鋏箱を2個(一組)手に入れる事が出来ました。
最近手に入れた鋏箱には、上部に大小の蓋があって、左右の蓋が開く仕組みになっています。
また、横に担ぎ棒を通す四角い金具が取付けられており、片方の蓋には施錠設備が備わっています。
箱の底には、戦時中に信州方面で発行された古新聞が敷かれていたので、長野方面で使用されていた鋏箱だと思います。
金具は鉄製で、素材も竹製の葛折りに和紙が貼られて出来ているため、鋏箱とは云っても豪華さよりも素朴な良さを感じます。
一般的に[鋏箱]は、武家が家来に担がせた衣装箱を云いますが、最近手に入れた鋏箱は、恐らく明治以降の嫁入り道具ではないか?と思われ、それを代々大切に保管して来たのだと考えています。
尚、元々当庵で所蔵していた鋏箱は一つだけですが、金具は銅製で精巧な細工が施されて高級感があるため、武家が江戸時代に使用した衣装箱だと思います。
(※昔の資料を見れば、鋏箱を一つ担ぐ場合と、二つを天秤式で担ぐ場合がある様です。)
(鋏箱の展示)
最近手に入れた鋏箱を一組、床の間に置かれた「長持ち」の上に載せてみました。
すると、大変に良い雰囲気になったので、このまま展示することにしました。
そして、今まで通り小さな置物を添えてみたところ、以前と違った素敵な空間ができあがりました。
(おわりに)
雛飾りにある「長持ち」や「鋏箱」は、今では見掛けることがない貴重な古道具です。
このように、それらを原寸大で再現できるのも、懐古庵ならではの楽しみ方です。
自分でも、感動的な空間が出来上がったと満足しています。
ご来店の際には是非ご覧下さい。
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