最近、錆びた古い金具を入荷しました。
余り見掛けない珍しい金具なので、現在、調査中です。
1 はじめに
一部の金具には心当たりがあり、恐らく全て【昔の馬具の金具】だと思いますが、この様に、古い馬具の金具が沢山残っているのは、大変珍しい事です。
懐古庵には無かった物なので、出来る限り調査して資料化しておきたいと思います。
2 金具の分類と調査
(1)金具を全部、広げた状況。
(2)滑り止めの爪が付いた十字型金具4個とT字型金具2個。
(3)鐶(かん)
大3個、小6個。
小鐶は、楔(くさび)が尖った物4個、楔が尖っていない物2個。
(4)轡(くつわ)3個。
(5)針金の片方に引っ掛け金具が付いた物。
3 金具の確認と用途
(1)上記2-(3)の鐶(かん)は、鉄の楔(くさび)にリングを通した物で、門柱等の木材に打ち付けて馬を繋(つな)ぐのに用いられたと考えています。
また、楔(くさび)が平らな小型の鐶(かん)については、高い木口に打ち込んで物を吊すのに用いられたと考えます。
(2)そして、2-(4)の轡(くつわ)については、口に噛ませるハミや面懸(おもがい)への連結金具も付いている為、これらの金具が全て馬具用に用いられた物であると判ります。
(3)ところが、2-(2)の爪が付いた十字型金具及びT字型金具については、今まで見たことが無く使用目的がはっきりしません。
思い当たる用途としては、
・滑り止めの爪が付いていること
・リングとロープの状況が馬用草鞋(わらじ)に酷似していること
等の特徴から想像して、雪道用に使われた馬用の「滑り止め金具」(アイゼンの一種)ではないかと考えています。
4 おわりに
社会の機械化が進み、今では農村において牛馬の利用は殆ど行われていません。
古民家ギャラリー懐古庵では、庶民の昔の道具として馬具の幾つかは所蔵していますが、今回入手した古い金具については、大変珍しい貴重な資料であると考えています。
よって、これからも大切に保管し、皆様にご覧頂くよう展示したいと考えています。
懐古庵主
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