今回は、昔の馬鍬(まぐわ)を紹介致します。
1 はじめに
古民家ギャラリー懐古庵の2階は、昔の農機具展示室になっています。
日本は戦後、社会の工業化・機械化が進み、ここ50~60年で昔の農具は姿を消しました。当然、不要になった道具は邪魔になり、殆どの家から処分されたと思います。
しかし、気付けば1000年以上変わりなく使われて来た貴重な農具が残っておらず、大切な文化の証(あかし)が僅か50~60年で消失してしまった訳です。
私は、そうした農具をガラクタでも民俗資料として保存してきました。
今回は、懐古庵で展示する3種類の馬鍬(まぐわ)について紹介致します。
2 代掻き馬鍬(しろかきまぐわ)
※馬鍬を(まんぐわ・まんが)とも言う。
これが一般的な馬鍬(まぐわ)で、牛馬に牽(ひ)かせて田畑の土を細かく砕き、平らにするのに用いた農具です。(牛馬耕の馬鍬)
田植え前に、代掻き(しろかき)が3回行なわれました。
最初の2回は、牛馬で牽かせる
・荒代(あらじろ)
・中代(なかじろ)
と云われ、3回目の仕上げには、人によって柄振(えぶり)で平らにする
・植代(うえじろ)
が行なわれました。
写真の代掻き馬鍬は、持ち手部分の「鳥居型把手(はしゅ)」が欠損し、横木と歯の部分だけしか残っていません。
3 振り馬鍬(ふりまんぐわ・ほうりまんが)
1人用
この馬鍬は、犂耕(りこう)の後、種まき床にある乾いた土の塊(かたまり)を両手で左右に振りながら砕く農具です。
横木の歯が、互い違いに付いているのが特徴です。
4 振り馬鍬(ふりまんぐわ)
2人用「夫婦馬鍬」
この馬鍬は、2人(夫婦)が向かい合わせに鳥居型把手を持ち、横木の歯を左右に振って乾いた土塊を砕くのに用いました。
この種の馬鍬は珍しく、大正時代から昭和20年代後半まで水田や畑で使われました。
5 おわりに
昔の稲作は、牛馬を使って犂(すき)で田を起こし、肥料を入れて馬鍬で代掻き(しろかき)した後、田植えをしました。
町内には、今でも6月に「馬鍬洗い(まんがらい)」と云う行事が残っており、当番組が神社の前に幟旗を立てます。
お米は、農作物の中で最も大切な穀物である為、代掻きした馬鍬を洗い1年の豊作を祈る習わしが今尚続いているのを嬉しく思います。
(追記)
諺(ことわざ)に、
起きて半畳、寝て一畳。
天下を取っても二合半。
との教えがあります。
それだけ有れば生活が足りる
・欲をかかない「清貧の美徳」
を教えた諺です。
私は、それに付け足して
「100年経てば誰も居なくなる。」
と言っています。
泣いて暮らすも一生。
笑って暮らすも一生。
今尚、世界で戦争が行なわれているのが不思議な気持ちになります。
沢山有っても不満を言う人。
少しでも満足している人。
欲の深さだけ幸せに成る訳では無いのは確かです。
長く生きても100年、幸せな暮らしが出来れば十分なのも確かです。
懐古庵主
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