半端な物や壊れた道具でも、工夫によって楽しむことができます。
1 見立て技法
「見立て技法」は、茶道などで物を楽しむ方法として良く使われる言葉です。
ある対象を別の物になぞらえて表現する芸術の技法を云います。
私的には「逆転の発想」に近く、園芸で云えば「借景の技法」の様な感じでもあります。
大概の物は、壊れてしまえば不要品ですが、素材に対して別の物に生かせる魅力があれば、捨てずに工夫するのが賢明なやり方です。
懐古庵の古物品には、一品物で映える美術工芸品も有りますが、道具類の多くは今では使用が不能な物ばかりです。今回は、たとえ半端な物でも壊れた物でも楽しめる「見立て技法」について幾つか紹介したいと思います。
2 薬研(やげん)の「すり鉢」
昔の薬研は、舟形の鉄製「すり鉢」と「すりこぎ」のローラーの組み合わせで成り立っています。
ここに有るのは、本来ならば不要な鉄くずですが、昔の薬研の「すり鉢」と云う魅力を生かして「見立て技法」を用い、生け花の水盤になぞらえて表現したものです。
「すり鉢」の舟形を生かして人形等を置けば、ユニークな飾り物として道行く人の眼を楽しませることが出来ます。
3 鐙(あぶみ)の楽しみ方
昔の鐙(あぶみ)は、いくら左右二つが揃っていても実用品にはなりません。しかし、たとえ片方しか無くても楽しむ事が可能です。
鉢植えを置いて楽しむのも良し、飾り物と組み合わせるのも良し、鐙(あぶみ)の良さを十分生かせば楽しみも広がります。
4 線路のレール
誰もが「あっ、レールがある。」と云う程インパクトを持っています。
道具として重しに使ったり、ハンマー台の鉄床(かなとこ)にも使ったり出来ます。
しかも、珍しい逸品物として庭先に飾るのも粋なやり方です。
玄関先でお客様を出迎えるのに、昔の墨壺等の骨董品を2~3品飾っておくのも「おもてなし」ですが、骨董品ではないレールの様な珍品を何気なく置いておくのも面白いと思います。間違い無く、親しみ有る人なら それを話題に可笑(おか)しな会話が始まると思います。
5 おわりに
最近では、懐古庵の庭先ギャラリーも一つの人気です。
先のブログ「芸術家のポニーテール」でも述べていますが、人生を楽しむ遊び心が判って貰えたら嬉しく思います。
展示物を見て気になり車で止まって眺めてゆく方もあれば、最近では、何か好みの物が展示されてはいないか気になり、わざわざ車で見に来る方もいらっしゃいました。
その様な遊び心を判って下さるお客様には、陰ながら感謝の気持ちで一杯です。
これからも魅力的な物を展示して参りますので、是非、庭先ギャラリーをお楽しみ下さい。
懐古庵主
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