秘密の掟「黄金律」

人生とは、人間性の秘密を探し求める旅路ー

1 はじめに

 古希を迎え、体力や気力の衰えを感じる今日この頃、今回は、どうしても伝えておきたい言霊「黄金律」を記事にしました。

 黄金律については、以前、2020年12月21日のブログ「キリストの言霊・黄金律」でも記事にしています。

 そこでは、2000年も昔にイエス・キリストがユダヤの丘で民衆に向かって述べた言葉

  全て人にせられんと思うことは

  人にもまた そのごとくせよ

を記事にしましたが、その後、沢山のブログを紹介してきたので、すっかり埋もれてしまったかも知れません。

 しかし、最近ブログで「人間性の秘密」について幾つか紹介してきたので、正にその奥義とも云える「黄金律」について、再び記事にしました。


2 ゲーテ思想との出会い 

 数々の名言集を読みあさっていた40代、名言を集めたどの書籍にも或る人物が登場し、名言と云えばその人の独壇場であるのに気づきました。

 それがドイツの哲学者、文豪、詩聖ゲーテです。

 「いったいゲーテとは何者なのだろう?」と思い、彼の書籍を何冊も読みあさり、その思考力の凄さに衝撃を受けて以来、すっかりゲーテ思想の虜になってしまいました。

 その洞察力の鋭さから、理解しようとすればする程、頭がシャッフル状態になり色々な気付き(智恵)が生まれてきました。

 そして、その後、仕事面でも余り人間関係に悩まず、比較的順調に社会生活を送ってこられたのも、全ては思考の仕方に変化があったからであり、ゲーテ思想のお陰であると感謝しています。


3 D・カーネギーの教え

50代の頃、D・カーネギーの書物に出会いました。

彼は人間関係研究家であり、アメリカでは評論家として有名だった人です。

 ゲーテ思想に感銘してからは、以前の様に硬く固執した思考とは違い、多角的・普遍的視点から調和を重視し柔軟な思考になっていたのか、不思議と真逆な捉え方にも幾つもの気付きがありました。

 通常の社会生活には、分別ある行動こそが大切ではありますが、逆に「無分別」の捉え方にも重要な教えが有ることにも気付きました。

 ヒトが本能的に持っている自己欲求に対して、実は真逆の生き方に真理が隠されているのではないかー

 ヒトは、欲求を満たそうとすればする程、色々な面で摩擦が生じる。

 争いに勝ち残った者だけが勝者になる、その原則しか豊かさは無いのだろうか。

 D・カーネギーの書物から学んだ気付きとは、

   「相手を認めて心から褒める」

と云う無分別、つまり利他の精神(利他主義)でした。

 私は人生を、

  人間性の秘密を探し求める旅路ー

と思い人生の豊かさを追究してきましたが、D・カーネギーの書籍から

 「人生には黄金律(秘密の掟)が有る」

と云う奥義を知ることが出来ました。

 その無分別にこそ歴史上、どの聖人にも共通した教え「秘密の掟」があるのをD・カーネギーが突き止めて紹介した訳です。

 その秘密の掟とは、

約3500年前、インドのヒンズー教の聖典に説かれ

約3000年前、ペルシアで拝火教のゾロアスターが説き

約2500年前、中国では孔子、インドでは釈迦が説き

その100年後、道教の祖「老子」が説き

そして、約2000年前、ユダヤの丘でキリストが述べた教えです。

 キリストの聖句「山上の垂訓」(マタイ伝)として有名な言葉

   全て人にせられんと思うことは

   人にもまた そのごとくせよ

については、D・カーネギーが歴史的ベストセラーになった著書「人を動かす」で、世の中で最も重要な法則(黄金律)として紹介されています。

 その言葉の意味は

「すべて他人(ひと)にして欲しいと望むことを、まず他人(ひと)に そのようにしてあげなさい」

との内容(倫理的な原則)です。

 このゴールデン・ルールは、多くの宗教や哲学に見られる普遍的な概念とされています。

 そして、D・カーネギーが云おうしたことは、「歴史上の聖人の教えには、どれも共通した人間の掟が含まれている」と云うことです。

それが 黄金律(ゴールデン・ルール)です。

 D・カーネギーの著書では、このキリストの言葉以外に、それら聖人達の言葉は紹介されてはいません。

 しかし、云われてみると聖人達は、次の共通した教え「黄金律」を述べています。

〇子曰わく

 「己(おのれ)の欲せざる所は、人に施(ほどこ)す勿(なか)れ。」

            (孔子)

〇原始経典の一部、相応部(そうおうぶ)経典より、

 「おのれの愛(いと)おしさを知るものは、他を害してはならぬ。」

            (釈迦)

〇「取らんと欲する者は、まず与えよ。」

            (老子)


4 黄金律とは

 私が以前、ブログで紹介した石碑

   「自未得度先度他」

は、道元禅師が教えた禅名句ですが、それにも黄金律が説かれています。

 その禅名句は、

「自(みずか)ら未だに度(ど)を得ざるに先ず他を度す」

(度とは悟りの境地の事)

と説かれ、解釈は次のとおりです。

 仏の境地に生きるということは、自分本位、自分中心の心を捨て去り、他の人、他の生き物の為に尽くす生き方をすること

それも「黄金律」の教えです。

 つまり、黄金律「秘密の掟」とは、

〇自分よりまず他の人を優先させる。

〇人を愛して自分を愛する。

〇相手を認めて心から褒めよ。

という「無分別の利他主義」を意味します。

 そして、黄金律については、色々な教えに言葉を変えて様々に見付かります。

それを一言で云えば「利他主義」です。


3 おわりに

 どの時代にも、愚かな欲望や争いは絶え間なく行われてきましたが、そうした混迷する歴史の中で、優れた聖人達が伝えようとしたのは、

〇自分よりまず他の人を優先させる。

〇人を愛して自分を愛する。

〇相手を認めて心から褒める。

という「無分別の利他主義」です。

 それは、人間の本能(欲望)からすれば邪道かもしれません。

 しかし、愚かな欲望こそが絶え間ない争いの元凶であるのを肝に銘じなければなりません。


4 追記

 古民家ギャラリー懐古庵の目的は文化の継承であり、文化には物質文化と精神文化があって、とかく精神文化の方が疎かにされがちです。

 目に見えない感性(精神的・心理的なもの)には、音楽や演劇、思想や宗教など色々あり、物質的な物だけが文化財ではありません。

 それら良質な精神文化を残して、後世に継承する事こそ、懐古庵のミッション(社会的責任)だと思っています。

 自分限りの人生を楽しんで、先人が大切にしてきた遺物や伝承を簡単に断捨離してしまうのは、至って簡単ではありますが、自分の時に「閉じてしまう」のは余りにも無責任です

 「閉じてしまえば」そこで全てが終わりますが、二度とは回復出来ないものです。

継承してこそ文化は残されます。

人生とは、人間性の秘密を探し求める旅路ー

 今回は、体力・気力に衰えを感じる昨今、私が最も大切だと感じている倫理的原則(黄金律)について記事にしました。

        古民家ギャラリー懐古庵


 

※(参考文献)創元社刊、D・カーネギー著、山口博訳、「人を動かす」




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