豆腐屋のラッパ

古き良き時代のローテク、昭和ロマンの展示品を紹介いたします。

昭和の時代、魚屋さんは軽四トラックで行商に来て、ハンドベル(チリンチリン)を鳴らして呼び出しました。

冬の乾燥した時期になれば、夜間「火の用心」の声に合わせて拍子木の音が聞こえてきました。

早朝、自転車で豆腐屋さんがラッパを吹いて来て、母親に時々納豆を買って貰い、朝ご飯で食べるのが楽しみでした。

何でもハイテクな物へと時代は変わり、ローテクな物は次第に時代から消えて行きました。ハンドベルや拍子木は、今でも時々目にしますが、豆腐屋のラッパは殆ど目にしません。



此処「古民家ギャラリー懐古庵」では、人くさくて温かみのある昭和ロマンが蘇(よみがえ)ります。

この豆腐屋のラッパは、大分古く埃っぽい為、実際に吹いたりは出来ませんが、洗浄すれば鳴らすことも可能かと思います。

時代の波に流されて、気付けば自分の近くから静かに立ち去ってしまい、手の届かぬ所に行ってしまった懐かしい物を目にした時、訪れるお客さんから「ああ、此れ豆腐屋のラッパだ!」と、感嘆の声が聞こえる事がしばしば有ります。

私自身も、此の豆腐屋のラッパが展示室の片隅にあるだけで、昭和の懐かしい情景が浮かんでくる程、小物ながら存在感がある品物です。

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