荷車等の大型農具は、旧台所に保管しています。
1 はじめに
元々、玄関から奥の旧台所まで土間が続いていましたが、今では旧台所のカマド付近だけ土間を残し、新しい台所部屋に改装されています。
奥の旧台所には、北側と裏側に出入口があり古民家を一周出来ます。
懐古庵では、重量のある大型農機具を旧台所に保管しています。
2 昔を偲ぶ農具の数々
この部屋には、昔の農具がギッシリ詰まっています。
色々な荷車があり、完品物が5台、壊れた物が1台保管されています。
お客様の多くは、見学場所が常設展示室だけだと思いがちですが、この大型農具部屋を見れば大変驚かれます。
高齢の方々は、昔のカマドの前に立つと思い出や懐かしさが込み上げてくる様です。
特徴的なのは、保存状態の良い大型荷車に加え、牛馬耕に使われた農具が全て揃っている事です。
単品で見ても何となく判るだけで、どの様に使われたのか判然とせず、実際の物を見なければ理解出来ない事が多いものです。
牛耕では、犂(すき)や馬鍬(まぐわ)を使って田畑を耕しました。
しかし、その二つの農具をどの様に使って耕したのか?
それには、牛と犂・馬鍬を連結させる農具が無くてはなりません。
それが次の画像の農具です。
①牛の背中に乗せる鞍(くら)。
②牛の首に乗せる首木(くびき)。
③牛と犂・馬鍬の間を連結される尻枷(しりかせ)。
④鼻輪(はなわ)からの手綱(たづな)。
⑤鞍・首木・尻枷を連結する綱や鎖。
⑥尻枷と犂との連結金具。 等々
更にまた、鞍の横には手綱を通す金具が取付けてあり、実際の道具を見なければ金具等の質感等も伝わってきません。
3 おわりに
この籠(かご)は何だろう?
これは恐らく口籠(くちかご・くつご)。
尚、手綱が籠の持ち手に付けられている事から、口籠を付けた時には鼻輪に手綱を付けてはいなかったかも知れません。
口籠は、牛馬が作業中に農作物を食べたり人に噛みついたりしないよう取付けた道具です。
民俗文化では、使われなくなった道具は捨てられ忘れ去られます。
しかし、文化史においては、この様な「口籠」にこそ貴重性・重要性があります。
伝承だけでは、道具の質感までを伝えることは出来ません。
懐古庵では、昔の道具を大切に保管しています。
昔の道具を通して、古(いにしえ)の生活を想像して頂けたら幸いです。
懐古庵主
0コメント