当庵で所蔵する「ヤマハ第1号オルガン」について紹介します。
平成6~7年頃、レコード収集の為、清水市郊外の骨董店を訪れた折り、店の前で部品が欠損したこのオルガンを目にしました。
昔自宅にあった古いオルガンを自分が庭先で壊して焼却してしまったので、そのオルガンと一緒の物を見た時、昔の光景が蘇りました。
物置には、古い農具等が沢山詰まっていましたが、片付けない事にはどうにも成らない状況だったので、当時、1ヶ月間くらい、ガラクタを焼却したのを記憶しています。その中に、このオルガンがありました。人は、持っていれば重荷になる物でも、失うと未練が残り再び求めたく成るものです。私は、どうしても其のオルガンを欲しくなり買ってきました。
その後、欠損した箇所の修復をしたいと思い、平成8年5月下旬、欠損している譜面立てと風力調整部品を復元する為、浜松アクトシティ内にある浜松楽器博物館を訪問しました。
博物館の「国産初期楽器コーナー」に展示されていた「初期リードオルガン」は、明治40年(1907年)頃の日本楽器製造株式会社(ヤマハ)製で製造番号は64687でした。
私が買ったオルガンも同じ種類でしたが、製造番号は173766でした。オルガンの場合にはピアノと違って製造番号から年代を特定するのは難しく、一時期に大量生産された為、私のオルガンも製造企画が一致する点から明治後期(明治40年頃)には間違いなく、「ヤマハ第1号オルガン」と同じ貴重品だと分かりました。
学芸員の方に事情を説明して欠損した部品の寸法を計測させて貰いました。
リードオルガンは、パイプオルガンに対し発音体にリードを使用し、欧米ではパイプオルガンの代用品的性格が強いものの、日本では学校を中心にピアノの代用として普及しました。そのオルガンは、明治20年代から国内で量産される様になりました。
学芸員の方が言うには、当時、其の博物館でも初期リードオルガンは3台しか所蔵していない旨でした。その上、私が所蔵するオルガンが貴重な物であり、愛着心を察知したのか、後日、初期オルガンや椅子のカタログを郵送してくれました。
当庵が所蔵するヤマハオルガンは、鍵盤数が39(白23・黒16)で、第一号形式です。
椅子は、その後、ネットオークションで見付けましたが、当時のサイズには大・中・小の3種類あった様ですから、第一号の規格品であるか否か定かではありません。出品者は古いオルガンの椅子とは知らなかった様です。本当に奇跡的に此のオルガンの椅子まで手に入った訳です。
大変、貴重なオルガンですから当庵に来店の折には、是非、ご覧下さい。足踏み部分が最近では上下出来ず、音を出すことが出来ませんが、そのままの状態で展示しています。
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